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訓え
あにぃ… 今日、何の日か、覚えてるよね…? 今日はボクの誕生日。1日前と、ほんの少ししか違わないけど、1年前とはけっこう違う。 1年前のボクと違うところ……それは、1年間経験してきた事と、その思い出…… そして、ボクの体が、より女の子らしくなってきちゃったこと…… ボクはあまり、女の子らしくなるって事には憧れない。だってそれは、あにぃと離れていっちゃうことだと思うから。クラスの男の子と一緒になって遊べなくなったことも、身体検査で恥ずかしくなったことも、全部、ボクが女の子だから…… あにぃは「どんなときも、そのままの衛でいいんだよ」て言ってくれたし、ボクもそれを言われたときはとても嬉しかった。 でも、それでも少し思うんだ。やっぱりボクが男の子だったら、もっと一緒にあにぃと遊べるんじゃないかって。男と女ってことに気兼ねしなくて、もっと…… 昨日、そのことを咲耶あねぇに言ったんだ。そしたら怒られちゃった。 「それじゃ、女の子だったらお兄様と一緒にいちゃいけないの? 男の子でないと、お兄様と遊ぶ資格はないの?」 そんなことはないけど……。口に出ない言葉を心の中で反芻していると、あねぇは言ったんだ。 「衛、私は自分が女の子であることに誇りを持ってるわ。女の子にしか出来ない、お兄様との付き合い方ができるから。明日はどんな服を着よう、どんなお化粧をお兄様は喜んでくれるかしら……そう思うことは、女の子であることの特権じゃない?」 「うん…」 「人は誰でも自分である事から逃れられないと思うの。性別が決まっていたり、親がどんな人間であったり…愛する人が家族だったり…」 そう言ってあねぇは一瞬、とても淋しそうな顔をしたけど、すぐに笑顔になって、 「でも、本当の問題はそんなことじゃない。そこから何が出来るか、自分であるデメリットにどう対処していくか。それが一番大事なことなの。夢見ることはいいけど、それにしがみついて現実を見ないのはダメ。自分であることに誇りを持って、いいところを最大限に生かして、悪い現実をどうにかするのが、現実に生きている私たちのするべき事。わかった?」 よくわかんないかったけど、とにかくクヨクヨするなってことだとボクは思った。 ボクがボクであることは変わらない。でも、本当に大事なのは、そのボクであることを、一生懸命進むべきなんだと―― 「でもね、私、少し衛が羨ましいな」 話し終えて、お茶でも飲もうかって立ち上がったあねぇが言った。 「え?」 「だって、今までは男の子としてお兄様と一緒にいたんでしょ? 将来は女としてくんだから、男女両方の付き合い方ができるってことじゃない」 「え、えええええええ!?」 「あ〜あ、私も衛みたいにすればよかったかな〜?」 「もう、あねぇ! からかわないでよ!」 "Exist at myself"closed.
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